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鉄拐峰に登る(てっかいほうにのぼる) -源平期-

鉄拐峰に登る(てっかいほうにのぼる) 梁田蛻巌(Yanada Zeigan)

鉄 拐 峰に登る



一ノ谷の戦いに思いを馳せる

一ノ谷の戦い

鵯越の逆落とし『源平合戦図屏風』「一ノ谷」

現在の鉄拐山

現在の鉄拐山より

作者の梁田蛻巌(やなだぜいがん)(1672〜1757)は、江戸時代中期に明石藩藩主に仕えた儒学者です。源平争乱「一の谷の戦い」の旧跡である鉄拐山に登り、作詩したと思われます。このように江戸期の知識人が過去の出来事について詠んだものは多数残っており、剣舞演目にもよく登場します。

さて、平家物語に登場する「波際を敗走する平敦盛とそれを呼び止める熊谷直実」のエピソードは、合戦屏風図にも描かれるなど大変よく知られており、能や江若舞、文楽、歌舞伎など、他の芸能の演目にも取り上げられています。

本詩文に対する振付例としては、まず旅人(梁田)が鉄拐山に登り、古い陣屋の跡や烏の鳴く声に寂しさを感じます。続いて源氏軍となり、馬で鉄拐山から逆落としに一の谷の平家軍を急襲する様を表します。後半では手負いの平敦盛となり、諦めの心境で得意の笛を手にします。そして波際を逃げようとしたところ、熊谷直実からと呼び止められます。平敦盛は死の覚悟を以て熊谷の前に居直り、刀を地面に置き、胡座を組んで首を垂れるのです。最後は熊谷直実となり、自身の息子と同じ年齢くらいの平敦盛に手をかけるしかなかった自らの運命を嘆きつつ退場します。

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