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富士山-情景詩-

富士山    石川丈山   

仙客せんかく来   り遊ぶ 雲外うんがい   巓いただき
神龍しんりゅう ゆ 洞中どうちゅうふち
雪は   紈素がんそごとく けむりごとし 
白   扇はくせんさかしまに かる 東  海とうかいてん    



神龍住まう霊山を扇で舞う

石川丈山像(『先哲像伝』より)

石川丈山像(『先哲像伝』より)

富士山

富士山



世界文化遺産「富士山」は、静岡県と山梨県に跨る標高約3776メートルの独立峰で、日本随一の美景と神秘を誇る霊山として、古来より多くの人がこの山を詩歌にしたためてきました。江戸初期の武士で代表的漢詩人である石川丈山(1583〜1673)もその一人です。現在は休火山である富士山ですが、この詩が読まれた当時は、噴煙を上げる活火山でした。詩意は、「仙人が来て遊ぶといわれる神聖な富士山の頂きは、雲を突き抜けて高くそびえている。山頂にある洞窟の中の淵には、神龍が年久しく栖んでいると伝えられている。山頂あたりは純白の雪に覆わ れ、ちょうど白絹(しらぎぬ)を張ったようで、立ち昇る噴煙は、その扇の柄のように見える。まるで東海の大空に白扇が逆さまにかかっているようだ。」というものです。



六六山 詩仙堂 丈山寺

六六山 詩仙堂 丈山寺

扇のみで舞う詩舞

扇のみで舞う詩舞



本作は、扇のみで舞う詩舞として扱うことが多く、複数名の群舞としてリサイタル等でもよく舞われています。漢詩で表現された内容を具象 化したり、抽象的表現で富士山の大いなる美しさとその付近の景観を表現します。なお、彼の晩年の住居は「詩仙堂」と名付けられ、今も京都に保存されています。

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